日本の観光資源の目玉は温泉ですが、温泉で昔からトラブル原因の一つになっているのは浴槽へのタオルの持ち込みです。
手術で体に傷跡がある、タトゥーがあるなど、肌を見せたくない事情がある方でも温泉に入りたいというニーズがありますし、外国人が日本の温泉マナーに詳しくないのは無理からぬことです。
しかしタトゥーや傷跡をタオルで隠して浴槽に入ることは、実はマナーの問題以前に法令上できません。
そもそも温泉は公衆浴場の一つですが、公衆浴場の場合、公衆浴場法や旅館業法、自治体の条例に基づき、安全面や衛生面について実に細かいルールが決められています。
浴場側はこれに従わなくてはいけません。
そして、ここでは、利用者に浴槽で頭髪を洗わせないことや、石けんを使わせないことまで細かく決められていますが、浴槽へのタオルの持込みも同じく禁止されています。
そこで着たまま温泉に入れる衣服が開発されています。入浴着やバスタイムカバーといわれるものです。
(かんぽの宿/手術跡などをカバーする「入浴着」の無料レンタル)
しかし、残念ながらこれらについてはまだ広く知られていないのが現状です。
これを受け、たとえば長野県は入浴着を着用しての入浴に衛生上問題がないことについての啓発ポスターを作成、配布して市民の理解を促進しています。
(体の傷あとをカバーする入浴着を信州のお湯は歓迎します)
この入浴着は衛生面の問題なく体を隠しつつ、入浴できるというものです。
手術で体に傷跡がある人、タトゥーがある人だけでなく、露天風呂で外界からの視線が気になる人、そもそも肌を見せたくない人にも役立ちます。
Written by 法律事務所アイディペンデント
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